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GERMS 狙われた街

メーカー:ケー・エー・ジェー

発売日:1999年7月22日

ハード:PlayStation

ジャンル:アドベンチャー

入手難易度:★★★☆☆

価格目安:1500円〜

記述日:2013年6月25日

グラフィック:★★★☆☆

サウンド:★★★★☆

操作性:★★☆☆☆

システム:★★★☆☆

ストーリー:★★★★★

難易度:★★★☆☆

ボリューム:★★★☆☆

総合評価:AA

プレイステーションに不可能はないのでは?

そんな考えを本作「GERMS 狙われた街」をプレイすると思わずにはいられない。
オープンワールドをこの世に知らしめた作品「グランドセフトオートⅢ」が登場する以前に広大なポリゴンのオープンワールドの街を作り上げ、リアルタイムに時を刻み、当然のように車や電車、地下鉄にも乗れて。お店にも入れて、やろうと思えば無差別に人々を殺してしまう事も出来てしまう・・・嘘だろっ!と思われるかもしれないが、本当にそんなとんでもない作品がプレイステーションにあったのだ。
あったのだ。ラインナップの隅の隅にあったのだ。

本当の狂気

主人公は故郷の街に偶然転勤してきた新聞記者。旧友「フジタ」に街の異変を告げられ、主人公はフジタと共に調査に乗り出す。しかしそこに待っていたのは、知性を持った「何か」と融合し、変化した人間であった。素晴らしい計画を実行するという変化した人々は次々と街に異変をもたらす。道路や鉄道は閉鎖され、街には変化した連中が潜んでいる。主人公はそこで変化した者達から街を守るために戦っていく事になる。
SFというSFな設定がごちゃまぜになったような電波な台詞、敵を倒す事によってその敵の生い立ちを垣間見る事のできる残留思念。マザー2のように他では見れない特異な文章の連続、過疎化によって誰もいない外の街並み、顔のない住民、そして聞いているだけで洗脳されそうなBGM(特にホテルのBGMは最高にキテる)耳に離れない不気味なSE。
オープンワールドなシステムも凄いが、ストーリーやその他演出はそれに輪をかけて凄い事になっている。自分もこんな作品は見た事無い。それだけ独特でイっちゃってる。ある意味、確信犯的に作られた感のあるPSの作品「LSD」よりヤバい匂いがプンプンする。
そんなGERMSの中でも僕が特に気に入っているのは敵のデザインだ。人間に化けて頭部だけが変化するタイプ(ぶっちゃけ寄生獣)や、人型を留めているがすでに人間ではないタイプ、そして岡本太郎作品のような色使いでもはや人間の形を全く留めていない異形の姿をしたタイプなど、変化した人々は使い回しがほとんど無いのでバリエーションはとても多く、どれも個性的なデザインばかりでとても面白い。特に終盤の敵はセンスの塊のようなデザインで、普通じゃない。これだけでも360度鑑賞できるモードが欲しいくらいだ。

戦闘はFPS?

そんな凄さがパッケージのデザインからも滲み出ているGERMSだが、ゲームとしても一般向けではない。
まず画面はずっと主観視点、FPSである。もちろん僕がFPSと言うだけあって銃で戦っていくのだが、照準を合わせて撃ってあたるゲームではなかったりする。実は敵に向けて当てると言うより、命中率、確率で当たるようなものになっており、どう見ても当たってるように見えても命中率が低ければ当たらない・・・というか運だ。序盤は特に。当時はどうか知らないが今このシステムは正直残念仕様としか言えないモノだ。でもなかなか当たらない武器で敵に苦戦するのも結構緊迫感があって、ある意味オツなモノだったりする。ある意味ね。
ただボス戦はボスの周りを回りながら攻撃するだけで倒せてしまうのはやっぱり残念だったかなぁ、でもガチだと勝てる気がしない(^^;;
それと街は徒歩で移動するには、気が遠くなるほど無闇に広く、車の操作も癖が強く操作に慣れるまで時間がかかるうえ、街はどこもグレーで特徴的な建物が少なく、目印になりにくいので説明書の地図を広げてのプレイが望まれる。(だけど目的地までの方向は常に指示してくれるぞ。)
だけどそんな短所は関係ない!本作の魅力の一割も削ってない!(自分も二回諦めてこんな事書くと非常に嘘っぽいが)むしろここまで出来た事をさらに拍手するべきだ。
そして説明書には制作スタッフの名前が載っている。しかしそこに書かれているのはスペシャルサンクスを含めてたったの15人!映画並みにスタッフを要求する今の時代では考えられないし、このクオリティを、あの広大な世界を、この人数だけで作り上げられたとは本当に信じられない。凄まじすぎる。

早過ぎた故に

でも当時この凄さを理解されるにはシェンムー以上に早過ぎたためか、ソフトの量は多いとは言えない。特に今でも話題になっているわけでもなく、アーカイブスにもなっていないので、今は影を潜めた作品になっている。(ユーゲーや、ゲームサイドが本作を取り上げないのが不思議だ。)まぁたしかにシナリオは万人にはウケる内容では決して無いし、操作諸々も残念だ。でも今も昔も本作に似たような空気感と雰囲気とセンスをもった作品は皆無であり、これからも無いかもしれない。そう考えると本作の存在は唯一無二であり、オンリーワンであり、特別なのだ。
正直僕の文章能力じゃこの作品の凄さを伝えるのはこれが限界です。是非お店に数少ない本作が置いてあったら、運命か、なにかしらの力が働いていると思いプレイしてみてください。
評価はAA(超偏ってます)
ちなみにサブタイトルはもろにウルトラセブンですね。

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