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GADGET

-Past as Future-

メーカー:シナジー幾何学

発売日:1997年11月27日

ハード:PlayStation

ジャンル:インタラクティブムービー

入手難易度:★★☆☆☆

価格目安:100円

記述日:2012年2月7日

グラフィック:★★★★☆

サウンド:★★☆☆☆

操作性:★☆☆☆☆

システム:★★☆☆☆

ストーリー:★★★☆☆

難易度:★☆☆☆☆

ボリューム:★★☆☆☆

総合評価:C

好き嫌いがはっきり分かれる謎の冒険

まったく予想もしていなかった内容だった。なんの前知識も無くプレイしたこの「GADGET -Past as Future-」は正にそう思わざる終えない不思議な作品だ。
主人公はホテルのロビーでスロースロップという男に「科学者のホースラヴァーに接触して欲しい。」と言われ、彼に会いにいく。その行く先々で汽車、飛行機、モノレールなど、いろんな乗り物に乗換え、ホースラヴァーの部下の科学者達に会い、そしてある計画を耳にする・・・。
作品全体に広がる、むせ返るほど溢れ出す閉塞感と重々しい雰囲気。流れる音楽は不吉で出てくる登場人物は全員顔色が悪く、男しか登場しない。皆話している事もどこかおかしかったり、詩的だったり。主人公は様々な場所を訪れていくがその展開はどんどん理解できないおかしな方向に向かっていく。
そして主人公の前にたびたび現れる電磁波照射装置『Sensorama』は座って起動すると危ないクスリでトリップしたような映像を見せられ、主人公は次第に現実と幻覚の区別がつかなくなっていく。プレイヤーはゲームの目的や意図もわかりにくく、殆どストーリーに説明が無いまま淡々と進行していくのでずっとモヤモヤしたまま話を進める事になる。
それもそのはず、この作品は映像クリエイターによって作られた作品なのだから。

時代で風化しない恐ろしい世界観

調べてみればこの作品、映像クリエイターの「庄野晴彦」という人が作った結構息の長いシリーズで。93年にPC向けで発売された後、様々な媒体で展開されており、なんと驚く事に2011年という近年にもiPoneとiPad用に本作のリメイク『iGADGET』なるものまで配信されている!
カッコいい汽車のデザイン、奇抜な乗り物や、スチームパンクで陰鬱な現実世界と光を帯びた不気味な夢の世界、独創的でどこか寂しげなグラフィック、そしてこのストーリー、映像作品として見たら納得である。
ジャンルの「インタラクティブムービー」というのは「MYST」のように画面を切り替えて移動したり謎を解いていったりする一世代前のジャンルなのだが、この作品の操作性はかなり悪く、どこまで進めてどこで行き止まりなのかが分かりにくくなっている。又気になるオブジェクトに対する解説が一切無く一体それがなんなのかさえ分からないまま進んでいく・・・いや解説を求めるなど、この作品には野暮なのかもしれないけど。
しかし難易度は「これでもか」と言うくらい低く、プレイヤーはただ歩いて人と話してフラグを立てて、モノを取ったり動かしたりするだけで良い。敵もいなければ、この類いの作品によくある謎解きも一切無い。プレイヤーはただこのゲームを彷徨うだけなのである。
ディスクは四枚組と内容のボリュームに期待させるが本編はなんと3時間足らずでクリアできてしまう。
だが、この作品のクリアへの最大の壁はこの雰囲気を美味しく味わえるか、途中でマズくて吐き捨てるかどちらかで決まるだろう。好きならばいいのだが、苦手だった場合はこの作品は苦痛にしか感じない。ちなみに自分は前者である。ストーリー全然よく分からなかったけど、この夢か現実か分からない不吉で不安な雰囲気は嫌いじゃないです。
だけど如何せん説明不足(それも狙っているのだろうけど)で淡々と進みすぎるので正直ゲームとしては、この作品をお勧めできません。しかし映像作品として見ると、これほど雰囲気に浸れる作品も珍しいです。
僕は好きですけど全体的に考えてみて評価はC

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