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SIMPLE2000シリーズ vol.110

THE 逃亡プリズナー

〜ロスシティ 真実への10時間〜

メーカー:D3パブリッシャー

開発:タムソフト

発売日:2006年10月12日

ハード:PlayStation2

ジャンル:アクション

入手難易度:★★☆☆☆

価格目安:500円

記述日:2012年08月27日

グラフィック:★★★☆☆

サウンド:★★☆☆☆

操作性:★★☆☆☆

システム:★★☆☆☆

ストーリー:★★☆☆☆

難易度:★★★★☆

ボリューム:★★★☆☆

総合評価:E

シンプルがグランドセフトオート!?

 ゲームのありかたを根底から変えた問題作「グランドセフトオート(以下GTA)」。巨大な箱庭の街で縦横無尽に暴力と自由の限りを尽くす事が出来るあの作品はまさにショッキングであり、大事件であり、大ヒットであった。そしてそれ以降GTAを真似た箱庭作品は多数のメーカーから星の数ほど出現して来た。本作「THE逃亡プリズナー」もその星の中の一つである。シンプルシリーズだけど。

服を借りろ!車も借りろ!(建前)

 ストーリーはこうだ。主人公のアレックスは警察とマフィアの陰謀により恋人殺しの罪で逮捕されてしまう。しかし乗っていた護送車が事故に遭いアレックスは逃亡を図る。ロスシティが警察に完全方位されるまでに残された時間は10時間。アレックスはそれまでに自らのえん罪を晴らし、真実を暴かなければならない。ちなみにマルチエンディングである。
 箱庭の街で一般人を襲ったり、車を盗んだりと本作は確かにGTAのようなシステムを取った作品だが決して敵と真っ正面からぶつかり合う作品ではないし、自由度もGTAのように高くはない。プレイヤーは常に追われる立場の逃亡者であり、街の至る所に非常線によって自由を奪われ、ぐずぐずしているとすぐに警察がやってくる。
 そんな訳でプレイヤーが出来る事は、自分の肉体のみ(銃などの武器は一切装備出来ない)を武器にして多くの警察官やパトカーの目をあざむいて行動していくしかない。見つかれば連中本気で殺しにくる、そこはGTAに似ている。
 そのため本作には「注目ゲージ」という主人公が今どれだけ目立っているかを視覚化したゲージが備え付けられている。速く走ったりおかしな行動をとるとゲージは上がり、警察や一般人にも逃亡犯である事がバレてしまう。
 また時間が経過するだけでも徐々に上がって行くので最終的になにもしなくてバレてしまう。「注目ゲージ」を下げる方法はというと、特定のアイテムを使うという方法もあるが、最も手っ取り早いのは一般人や警察を殴り倒して服を頂戴するという方法だ。ただ着替えただけにしか見えないが、これでなぜか警察の目が欺ける。
 ちなみに女性も殴り倒して女装する事可能だ。女装すると歩き方まで女性っぽくなってる所に制作者の気合(?)が感じられる。他にもメタギアのスネークよろしくダンボールを被って危機を回避したりと力の入れどころがよくわからない要素が各所に盛り込まれている。

粗さと難しさが苦しめる

 ゲームの大きな流れとしては目的地が与えられ、そこに到達すると次の目的地が与えられ、たまに人々から情報を聞き出し、そしてまた次の目的地へ・・・の繰り返しであり、そのたびに変装で警察の目を欺きながら、服や車を奪って注目ゲージを下げながら行動すると言う面倒でワンパターンなものである。途中一般人からの依頼(サブイベント)を受けたりする事もできるが結局イベントをこなしつつ服を奪って行かなければならないのでどっちにしてもゲームテンポは非常に悪い。
 そしてその面倒臭さに輪をかけて、全体的な作りの粗さがこの作品を香ばしくしている。カメラの扱いにくさはもちろんの事、巡回しているマフィアがなぜかムーンウォークしてたり、主人公から逃げるはずの一般人が叫びながらこっちに向かって来たり、棒立ちの人を轢こうとするとなぜか電柱に追突したように人は立ちっぱなしなのに車は大破炎上したり、山小屋から仲間を救助するシーンでは注目度が低ければ五人もいる見張りのマフィアが主人公に気付かなかったり(これは笑えるが)とおかしな点が非常に多い作品になってしまっている。
 さらに傷口に塩を塗り込むかのような難易度の高さも本作を狂気の作品に仕上げているのも忘れてはいけない。特にラストの怒濤の追い込みはトラウマになるぞ。
最後に偉そうな感想を書くとすると、意気込みはとてもいいのだが非常にゲームテンポが悪く、プレイしていてあまり楽しいとは言えないためお勧めしにくい作品だ。
 女装など笑える箇所もたしかにあるが、それを寒くするような負の要素がありすぎて、残念だけど私的にはとても笑ってごまかせる感じではなかった。
評価は厳しくE

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